スター原料が前面に
今回のAnugaで目立ったものの一つは、機能性の食品や飲料の存在だ。これらの製品は健康面を訴求するだけでなく、使用されている原料をパッケージ表面で積極的にPRしている。あたかも「スター原料」が、製品プロモーションをけん引しているかのようだ。近年、プロテインが人気成分であるのは良く知られているが、今回のAnugaではさまざまな原材料にスポットライトが当たっていた。
アメリカのOdyssey社のドリンクは、集中力向上を謳い、ヤマブシタケと冬虫夏草といったキノコを配合していることを前面に強調。特にアメリカでは、このような機能性マッシュルームが注目を集めている。
その他にも、イチョウ、ガラナ、高麗人参を配合した、メンタルパフォーマンスを高めるドリンクや、ヘンプオイル入りコーヒーなども展示されていた。これらの原材料は、消費者にとって魅力的なイメージを持つため、原料そのものに光を当てるアプローチが取られている。
プラントベース進化系統が枝分かれ
肉、卵、チーズ、ヨーグルト、スナックなど、プラントベース食品のすそ野は拡大を続けている。今回のAnugaでは、一つのエリアに留まらず、すべての展示ホールを通じてプラントベース製品が広く展開されていたのが印象的だった。
特に目を引いたのは、植物性のシーフードの躍進だ。プラントベースの製品群は、多様な枝分かれを繰り返し、陸から海へと進化領域を広げている。例えば、Pla Next社(イタリア)の植物性の魚は、小麦タンパク質を主原料にしており、フィレの「皮」として海草を用いることで、本物の魚に近い繊細な味わいを実現している。
またオランダのPlnt社が提供する植物性のクラブケーキも(一般的にクラブケーキとは、蟹の身をほぐしてケーキ状に固めて焼いたものをいう)、海苔を用いることで、独特の海の香りを醸し出している。植物性シーフードと海苔を一緒に展示している企業が多かったのも、興味深い傾向だ。
また簡単に調理できるプラントベースのミールキットも多く見られた。自宅で手軽にシェフクオリティの料理を楽しめるコンセプトだ。これもプラントベースを普及するための一つの取り組みと言えよう。
あえて付け加えると、今回のAnugaでは際立ってイノベーティブなプラントベース食品はあまり見受けられなかった。どちらかというと、味の向上や原料のクリーンラベル化など、既存製品の質の向上に焦点が当てられていた印象だ。
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Innova Market Insightsの日本カントリーマネージャー。世界の食品トレンドを読み解き、日本への知見/視点を伝え、企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。日本と世界をつなぐ懸け橋となり、クライアント企業と一丸となって食産業の発展に貢献することがミッション。