ローカルの誇りを世界の舞台へ
このトレンドは決して目新しいものではない。ただ今回のAnugaに参加して感じたのは、ローカル特有の食品や食材が、世界市場へ急速に広がっているということだ。例えば、写真のイタリアのチーズを見てほしい。これは地元の乳製品の伝統と革新を結集したような製品。高タンパクであり、亜鉛、セレン、ポストバイオティクスも配合されている。
ここで重要なのは、その地域性と誇りを前面に押し出し、それを現代的なスタイルにアレンジして、グローバルで通用する製品に仕上げている点だ。世界の消費者は、こうした特定地域のレシピに強い関心を示している。すなわち、「地域の誇り」と「グローバルのニーズ」は結びつくということ。これは伝統的な郷土料理がグローバルに飲み込まれるという意味合いではない。伝統食が、あらたな領域へ一歩踏み出すプロセスなのだ。この潮流のなかで、和食を始めとするアジアの料理にも、世界レベルでの脚光が集まる。
大切なのは、ローカル食を柔軟なアイデアで、グローバルニーズに適応させること。そして何よりも誇りを常に失わないこと。世界では「Proudly」とはっきり書かれたパッケージデザインによく出会う。それこそが、地域の誇りを世界に向けて発信している証拠といえる。
水分補給イノベーション
水分補給は人の体にとって基本中の基本。このベーシックなニーズに着目した飲料が、数多く見られたのも、今回の展示会の大きな特徴だ。
例えば、写真の製品には、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどの電解質が豊富に含まれており、パーティやお酒を飲んだ後、スポーツ後、また暑い日などに最適と謳っている。昨今の異常気象、特に温暖化の傾向も、このようなトレンドの加速に一役を買っているのだろう。製品コンセプト設計が実に興味深く、私たちの現代のライフスタイルに密接に結びついている点が際立っている。
また単に水分を補給するのでなく、付加価値を提供する製品も目立った。砂糖不使用のものや、pH値が高い天然ミネラルウォーター、機能性マッシュルームを使用したもの、多様なフレーバーなど、選択肢は多岐に及ぶ。実際、INNOVAの新製品データベースを確認すると、この種の製品は増加傾向にあることが分かる。これらAnugaで見られたトレンドは、遅かれ早かれ日本に影響を及ぼすことを肝に銘じたい。
情報提供
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Innova Market Insaights
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Innova Market Insightsの日本カントリーマネージャー。世界の食品トレンドを読み解き、日本への知見/視点を伝え、企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。日本と世界をつなぐ懸け橋となり、クライアント企業と一丸となって食産業の発展に貢献することがミッション。